ユダヤ系米国人の友人は、子どもの頃は差別を恐れ、出生をひた隠しにしたそうです。ユダヤ系米国人の多くは、第2次世界大戦中にヒトラーの差別政策を恐れて移民してきた人や、大量虐殺(ホロコースト)を逃れて戦後に移民してきた人たちとその子孫です。
親の世代を移民として受け入れた米国への恩返しの形として社会貢献を選ぶ人が多く、バイデン政権のブリンケン国務長官やガーランド司法長官、イエレン財務長官がユダヤ系です。
しかし、紀元前から存在する反ユダヤ感情は米国でも一部に根強く残り、正当化する機会があるとすぐに沸騰点に達します。
また、イスラエルへの反感が米国のユダヤ系住人への反感に直結しがちです。パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの戦争が始まると、ユダヤ系米国人に対する差別や器物破損、暴力が劇的に増加しました。

さらに、米国の成人人口に占める割合が2%余と低い割に、ユダヤ系は政府や企業の上級管理職を務める人が多いことから、米国の政治や経済を裏で操っているという陰謀論がつきまといます。陰謀論は理屈では覆せず、非常に厄介です。
首都ワシントンで先月14日に行われたイスラエルへの支援を訴えるデモには、支持政党などに関係なく多くの人が参加しました。しかしユダヤ系への共感や信頼が社会に浸透し、偏見による反感や陰謀論の威力を削がないかぎり、ユダヤ系米国人に心の平穏は訪れません。
ユダヤ系への偏見と陰謀論を克服する日が、米国の精神の進化を記す日になるでしょう。