どの国も、歴史を振り返り過去の過ちに対峙する時が来るのだと思います。4日に建国245周年を迎えたアメリカはその精神的な分岐点に差し掛かっているようです。
1921年5月31日から翌日にかけて、アラバマ州のタルサ市で大虐殺が発生しました。当時「黒人のウォール街」と呼ばれるほど繁栄していたグリーンウッド区を白人市民が襲撃、焼夷弾を飛行機から投下しました。地域は焼け野原となり、約300人が亡くなり、多くの負傷者もでました。
襲撃したのは白人でしたが、6千人の黒人がテロリスト扱いを受け、強制収容所に送られました。犠牲者である黒人に罪が着せられ、経済復興の支援を受けることもありませんでした。

100年たった今年、事件についてメディアが取り上げましたが、黒人犠牲者の家族や子孫は白人至上主義者の報復を恐れ、最近までこの事件を口にすることはありませんでした。また、高校までの歴史教育では除外されており、知らないアメリカ人も多いのです。
1787年に署名されたアメリカの憲法。奴隷の労働力に依存する農業社会を背景に作成されたため、「逃亡した奴隷を所有者に戻す」など、奴隷制を肯定する条項が複数ありました。前文では正義を確立し自由の恩恵を確保する憲法だとうたいましたが、対象は白人男性のみ。
1865年に憲法修正で禁止された後も、奴隷制は形を変えて存続し、黒人を殺害しても白人が法的処罰を受けることは非常にまれでした。
奴隷制や差別に関するアメリカの事情は混沌としています。
アメリカ市民が歴史の事実を学び、受け入れることで、その警告に耳を傾ける日が近くなることを切望します。