南北戦争(1861-65)後、奴隷制廃止と憲法修正を経て黒人はアメリカ市民となり、黒人男性は選挙権を得ました。しかし、暴力や脅しによる投票抑制が頻繁に行われました。
1950年代から差別と闘う公民権活動が盛んになり、65年に黒人及び少数民族の選挙権を保障する「投票権法」が成立しました。この原動力となったのが、キング牧師と共に非暴力主義を貫き、武装警官に襲われて頭蓋骨を骨折しながらも公民権活動を続けたジョン・ルイスです。当時二十五歳。
しかし、有色人種や貧困者への投票抑制は今も健在です。
有権者登録に写真つき身分証明書が必要な州では、運転免許のない人の登録はほぼ不可能。また、2013年に投票権法の差別予防条項が無効となり、共和党(トランプ大統領側)が強い州は、経費削減を理由に黒人の居住地域の投票所を減らすなど、投票抑制に効果のある法律を成立させました。
ジョン・ルイスは87年から今年7月にガンで亡くなるまで、下院議員(ジョージア州選出)を務めました。キング牧師ゆかりの教会での葬儀で、追悼の賛辞を述べたのはオバマ前大統領。「ルイス議員の遺志をつぎ、有権者自動登録や投票日の祝日化の新条項を投票権法に加えよう」と呼びかけました。

しかし、それもバイデン候補の勝利があればこそ。コロナ危機の中、民主党は安全な選挙と投票促進をめざし、郵便投票の強化を狙います。
大統領は郵政公社総裁の首をすげ替え、郵便ポストと郵便分類機を一部撤去。投票書の遅配や損失が懸念されます。一方、処方薬などの配達を郵便に頼る共和党支持者も多く、この前代未聞の投票抑制方法は諸刃の剣。今後の動きが注目されます。